勤務医志向のドクター向け。
勤務医師賠償責任保険は勤務医のマストアイテムですよね。どこから入るのがおすすめですか?
こんな悩みを解決します。
✔ 本記事の内容
- 勤務医師賠償責任保険のおすすめ保証額とその根拠
- おすすめの勤務医師賠償責任保険と入り方
- 初期臨床研修医は勤務医師賠償責任保険に入るべきか
結論から申し上げます。
- 勤務医に勤務医師賠償保険(医賠責)はマストアイテムです。
- 勤務医の医賠責は民間医局の2億円プランがおすすめです。
- 初期臨床研修医は、医賠責に入るなら日本医師会がおすすめです。ただし、民間医局に無料会員登録をして損はありません。
順番に解説します。
目次
勤務医師賠償責任保険は勤務医のマストアイテム
マイカー保有者にとって対人補償無制限の自動車保険がほぼほぼあたりまえのように、勤務医にとって勤務医師賠償責任保険(医賠責)はマストアイテムです。
いつ、どこで、どうなるか誰にもわかりません。
いつ、どこで、過失を起こして訴訟になるか誰にもわかりません。
また、過失ではなくても、不幸な結果や患者・家族サイドとのコミュニケーションエラー、感情のもつれから、訴訟にいたるケースもあります。
The 勤務医の周りにも、訴訟を受けたドクターはいます。
The 勤務医も、「この手術をすれば、○○、△△といった理由で、手術死亡率が50%を超えると考えます。」とICし、手術の不適を申し上げたのですが、本人・家族からどうしても手術をと求められ、拒否できなくなりました。手術を頑張ってさせていただいたものの、術後不幸な転機となり、家族は手術前と様相が変わり、弁護士を立てられ、カルテ開示を求められ、訴訟の一歩手前まで行ったりしたこともありましたし、
膵臓の手術後に、腹膜炎から不幸の転帰となり、カルテ開示まで求められたり、と、etcありましたが、幸い、訴訟までには至っておりません、が、現役の外科医を続けている以上、常に、訴訟の危機感は持っております。
医療訴訟の発生件数
日本では。年間800件くらい医療訴訟が起きて、1年間で医師400人に1人の確率で訴えられています。
医師個人に訴訟が向く理由として、
・担当医個人の責任を追及したいと考える患者・家族が存在する
・訴訟中に病院が経営破綻しても十分な賠償を得るために、担当医も共同被告として訴えられるケースがある
・経営難の病院が加入している保険の補償金額が低く設定されている場合、それを超える賠償額を共同被告の担当医が過失分を請求されるリスクがある
株式会社パイオニアより引用
などがあるようです。
20年勤務医をしてれば、20分の1(5%)、40年勤務医をしていれば、10分の1(10%)の確率で訴訟となります。
医療訴訟の賠償額
過去最高の医療訴訟の賠償額は、検索した限りでは、平成25年の下記事例(51歳女性)で、1億7014万でした。
任意の自動車保険が対人補償無制限のように、賠償金額はmaxを想定する必要があります。
なぜなら、賠償金の平均額では、心理的に訴訟というリスクを忍容できないからです。
したがって、医賠責では過去の事例を参考に、2億が妥当かと。
日本医師会の医賠責はmaxで1億です。1億5千万の賠償金となれば、5千万円は手出しとなります。
万が一でも、医療訴訟となった時、財産が吹っ飛ぶ強烈なインパクトとストレスを考えれば、2億の保証は妥当な額です。
もう一つは、免責です。
「○○万円までは、出しませんよ。あなたが出してください。」
結論から言うと、免責はなしにすべき。日本医師会の免責100万円は、いかがなものかと。勤務医にとって、精神的なストレスと100万円の出費はダメージ大です。
勤務医師賠償責任保険は団体割引20%が基本
医賠責の発行元は、損保ジャパン、三井住友海上、東京海上など、大手損害保険会社です。
保険会社の、保険料決定は、疫学、統計に損保会社の利益を足しているため、大方一緒となります。
したがって、医賠責に個人で入ると損をします。
20%の団体割引で入るのが基本です。
団体(大人数)で入るから、損害保険会社も収益がしっかり見込め、割引をします。
勤務医師賠償責任保険の主な代理店は3つ
医賠責は20%団体割引が基本と解説しました。
その代理店は、The 勤務医の経験値とGoogle検索でいくつか出てきますが、
コスパと実効性から主たる代理店は以下の3つです。下記以外は、厚生労働省第二共済組合、全国医師休診共済会、徳洲会(職員専用)、メディカルリスクマネジメント研究会、株式会社パイオニアなど。
3つ以外の代理店は、1)そもそも保険料が高い、2)その病院またはその組合に所属する時(厚生労働省第二共済組合は国立病院機構だけとか、徳洲会は徳洲会病院グループだけとか)しか加入できないので、選択肢から除外しました。
- 民間医局
- 日本医師会
- 学会の保険
民間医局
まず、民間医局です。
The 勤務医含め、周囲の医師を見ても、加入している方が多いのが民間医局の保険です。
加入者数が増えていて、4種類のプランから選べる
加入者も伸びています。
民間医局は、メディカルプリンシプル社が運営する、11万人以上の会員を擁する医師向け総合サービスです(入会費、年会費無料)。
初期臨床研修医のマッチングサービスのレジナビ、ドクターズマガジン、医学書が最大12%オフで購入できる民間医局書店、医師転職・バイトのエージェントサービスがあります。
ドクターズマガジン☟
民間医局は、年齢による年間保険料の違いはありません。
補償額により保険料は決まっています。
4種類のタイプから選べるのはメリットです。
オススメの1事故2億円保証の年間保険料は47,710円です。
免責なしです。
実際、民間医局のタイプ別加入率はDタイプの1事故2億円が最も多いです。
もちろん、勤務状況から、補償額の変更は自在に可能です。
例えば、キャリアプランの変更で訴訟のリスクが減った時や妊娠出産で、一時常勤を離れる場合ABプランとか。補償額の設定にフレキシビリティがありますね。
手続きがWebから簡単(5分以内)にできる
入会や更新がWebで5分以内にできます。
民間医局のホームページから、
その後、加入証書の到着を待つだけです。
保険料が安い
保険料が安いです。
勤務医の先生におすすめのDタイプ(1事故2億円)で、年額47,710円、月額3,975円です。後ほど、比較して示します。
ちなみに、米国は最低でも年間80万円程、賠償訴訟歴のあるドクターは2千万円台もあるほど。
The 勤務医は米国留学歴がありますが、あちらでよく耳にした言葉が、“Let’s go to court!”でした。
日本は、未だ医賠責の保険料は欧米に比べて、かなり安いですが、だんだん高くなると思います。
日本医師会
日本医師会の医賠責に入会するためには、まず、医師会への入会が必要となります。
なぜなら、医賠責は日本医師会入会特典の自動付帯、one of themになっているからです。
勤務医の医師会入会率は、約50%です。一方、開業医の医師会入会率は80~90%です。
都心では、勤務医の医師会入会率は低く、地方では高い傾向にあります。
解釈は微妙ですが、勤務医にとって医師会への入会のメリットは、???となります。
もちろん、立場上、入会する方もいらっしゃいますでしょうし、メリットを感じて、入会される方もいっらると思います。
医師会(日本医師会、都道府県医師会、群市区医師会)の会費が併せて必要
The 勤務医の場合、
昔、入局したら医師会へ入会がマスト、
医師会に特典として医賠責があることを後ほど知る、
医師会は、開業医へのメリット追求団体(役員比率が開業医が多い、自民党への寄付、学校保健、予防接種、休日当番医、無償の職業紹介、etc)であることを知る、
勤務医へのメリットは?(例えば、外科の手術手技の診療保険点数が上がっても給料は上がらない、勤務医と開業医の収入格差が是正されない、etc)と自問自答する、
雑誌、医師会ローン、デパート会員券、etcあるが、
医賠責費用(1億円まで、免責100万円で40,000円)、
プラス、日本医師会費(28,000円、A2会員、31歳以上)、都道県医師会費(13,000円)、群市医師会費(24,000円)が発生している、
併せて、年間、40,000+28,000+13,000+24,000=105,000円 かかっていることを知る、
医賠責以外の費用は、医師会の維持費や職員の給与、etcに費やされます。
???
年間105,000円が定額課金として、通帳引き去りで、医賠責費以外に医師会費として、28,000(日本医師会費)+13,000(都道府県医師会費)+24,000(群市医師会費)=65,000円がかかっていたことを、何となく忘れてしまいます。
プランは1事故1億円の1種類のみ
プランは1事故1億円の1種類のみです。
はっきり、選択肢がありません。
免責が100万円
免責100万円です。
“100万円までの賠償金は保証しませんよ!”ということです。
ただし、4,000円プラス、医賠責保険料で44,000円、日本医師会費込みで72, 000円払えば、免責ゼロになりますよ。ということになります。
プランと免責から考えて、かつ、最も多い医賠責の加入者数からみて、対応がちょっとpoorです。
これでも、平成30年には、医賠責費(31歳以上)を54,000円から40,000円に引き下げています。勤務医の医師会離れの危機感の表れだと思います。
初期臨床研修医の2年間は最安値
しかし、初期臨床研修医にとっての医賠責としては、最安値です。
15,000円です。(免責100万円、1事故1億円)
免責ゼロにしても(4,000円必要)で19,000円。
初期臨床研修医で、医賠責に入るならば、コスパを考えると、日本医師会が最もオススメとなります。
ただし、“医賠責に入るならば”です。
初期臨床研修医は、
- バイトができない(他院で訴訟となる機会がそもそも存在しない)
- 基幹型研修病院は病院賠償責任保険にほぼほぼ100%入っている(基幹型研修病院でも任意で初期臨床研修医に医賠責加入を勧めている所もあるため、確認したほうが良いです)
- 初期臨床研修医で日医の医賠責に入ったとしても、3年目以降は、所属を変える必要が多々ある。(例えば、市中の研修病院から大学病院の医局へ移動とか)
などありますので、The 勤務医は、初期臨床研修医が医賠責に入るかどうかは、ケースバイケースと考えています。
例えば、研修をする病院が、研修医に医賠責入会を必須として求める場合、とか。
いずれにしても、民間医局への登録は無料、かつ、プラスα( レジナビ、ドクターズマガジン、医学書が最大12%オフで購入できる民間医局書店、医師転職・バイトのエージェントサービス など)と業界安値且つフレキシビリティがある医賠責があるため、おすすめします。
学会の医賠責
学会から医賠責は、株式会社カイト-という代理店が以下の10学会で学会員のみを対象として販売しています。
保険料は、例えば、日本外科学会であれば、以下の3種類です。
1億:40,660円、2億:51,570円、3億:62,400円
いずれも、免責はゼロです。
日本脳神経外科学会、日本整形外科学会、日本胸部外科学会、日本産科婦人科学会は、日本外科学会と同じです。
一方、内科系の学会は、例えば、日本糖尿病学会は、外科系学会とほぼほぼ同じ(なぜかPタイプが80円高いです)で、
日本神経学会、日本消化器内視鏡学会、日本循環器学会、日本消化器病学会は、日本糖尿病学会と同じです。
結局初期臨床研修医以外の勤務医の方は、民間医局の医賠責がお得!
結論ですが、医賠責をコスパ第1で考えると、
初期臨床研修医の方には、日本医師会:1事故1億:15,000円、免責ゼロ+4000円で19,000円、これが最もオススメです。
初期臨床研修医以外の方には、1事故1億であれば、学会の保険(40,660円)がオススメとなります。
ただ、過去の判例から見れば、1事故2億が望ましいので、
結局、医賠責は、初期臨床研修医以外の方は、民間医局(1事故2億、47,710円(免責ゼロ))が最もオススメです。
日本医師会は、はっきり、医賠責加入の観点から考えると、メリットはありません。
付き合い、仕組み、医師会のベネフィットなどから入られるドクターが多数ではないでしょうか。
民間医局のプラスαのメリット
医賠責で最もオススメの民間医局は、入会費、年会費無料で加入できます。
民間医局のプラスαの5つのメリット
- レジナビ
- 医学書が最大12%オフで購入できる民間医局書店
- ドクターズマガジン
- 医師転職エージェント
- 定期非常勤・スポットバイト
「レジナビ」では、医学生向けの初期研修プログラム、および研修医向けの新専門医制度・後期研修プログラム情報等を提供しています。本サイトを通じて、医師国家試験対策や説明会、「レジナビフェア」等への参加申し込みが可能です。
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まとめ
The 勤務医が医師賠償責任保険を徹底比較しました。団体割引20%の代理店から選ぶのが原則で、結論は民間医局の1事故2億円、免責ゼロで47,710円がコスパ、実効性から最もオススメ!となりました。
今回は以上です。